クラスター株式会社
「誰もリアルであることを求めていない」VRの未来はどこに向かうのか? ——gumi國光氏×クラスター加藤氏

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VR(バーチャル・リアリティ)上で数千人規模のイベントやライブなどを開催・体験できるソーシャルサービスを展開しているスタートアップ「クラスター」。京都で3年間の引きこもり生活を過ごした加藤直人氏が立ち上げた、「引きこもりを加速する」というキャッチコピーを掲げる異色の企業だ。

加藤氏の影のメンターになっているのは、スマートフォン向けゲーム事業やVR事業を展開する「gumi」の國光宏尚代表。2人が考える日本発のVRコンテンツとは−−。VR事業を展開する2人の対談をお届けする。

KNOCKS編集部より
カメラマン: 小田駿一、 ライター: 西本美沙
2017/09/25
  • 加藤直人NAOTO KATOU
    クラスター株式会社
    代表取締役

    クラスター株式会社代表取締役。京都大学理学部で、宇宙論と量子コンピュータを研究。同大学院を中退後、約3年間のひきこもり生活を過ごす。2015年、VR技術を駆使したスタートアップ「クラスター」を起業。数千人規模のバーチャルイベントを開催できるVRプラットフォームサービス「cluster.」を公開した。

  • 國光宏尚HIRONAO KUNIMITSU
    gumi
    代表取締役社長

    gumi代表取締役社長。米Santa Monica College卒業後、2004年5月株式会社アットムービーに入社。同年に取締役に就任し、映画・テレビドラマのプロデュースや新規事業の立ち上げを担当する。2007年6月、モバイルゲームの企画開発をおこなう株式会社gumiを設立。2014年、東証一部に上場。ゲームの企画・開発・運営のほか、VR領域の投資などをおこなっている。

ある日突然、國光さんがオフィスに押しかけてきた

2人の出会いについて教えてください。

加藤

2016年に「cluster.」のアルファ版を出したのですが、その3日後くらいに知人を介して國光さんから突然連絡がきました。「これ作ったの誰や?顔出せ!」って(笑)。当時入居していた渋谷のコワーキングスペースにお越しいただいて、クラスターへのアドバイスをダーっと1時間くらいしゃべって帰っていかれたのが初めての出会いです。


國光さんは「クラスターに近い会社にはこういう会社があって、同様の問題で絶対行き詰まるから気をつけるよう」にとか「クラスターの技術は絶対にゲームに向いているから、ゲームを作れ!」っておっしゃっていました。

國光宏尚(くにみつ・ひろなお)gumi代表取締役社長と加藤直人(かとう・なおと)クラスター株式会社代表取締役CEO

國光

え、全然、覚えていないな・・・。当時クラスターで実施されていたイベントがバズっていて、それで社員経由で紹介してもらったんだよね。


でも、そのときに話していたソーシャルVRの会社は予想通り倒産したね。基本的に、大きな金額を調達すると気が大きくなって、人をいっぱい雇って、きれいなオフィスに入る。どんどんお金を使うけど、すぐビジネスになるわけじゃない。でも、大きくしたら縮小するのも簡単じゃない。調子が悪くなってきたときに、資金調達といっても事実上ほとんど不可能に近いからね。


それにしても、加藤くん、徐々に声が大きくなってきたよね。ちゃんと目も合うようになったし。最初は目も合わせてくれなかったし、声も小さくて。ちゃんと成長してきたんだなって感じるね(笑)。

加藤

それ、みなさんに本当によく言われます。起業前に引きこもり生活を3年続けていて人と話すこともなかったので、声帯が弱っていたんです。

コミュニティづくりやカルチャーづくりに力をいれていく

海外には同様のソーシャルVRサービスもありますが、國光さんからみてクラスターの優位性はどこにあると感じましたか?

國光

今のところはないんだよね。でも、これから作らないといけない優位性がある。キャラクターにしてもデザインにしても、欧米のものはやっぱりすべて欧米っぽい。そういう意味で日本っぽさは他国と大きく異なるので、そこを差別化して強化させていくのは大事ですよね。


もう1つ大きいのは時間。VRのコミュニティはリアルタイム同期が前提だからタイムゾーンが変わると難しい。たとえばアメリカと日本の時差は13時間なので、日本で一番盛り上がる22時がアメリカでは早朝になってしまう。だからコアなコミュニティを作る段階では、同じタイムゾーンでしっかりコミュニティを作ることが重要だよね。

加藤

クラスターは今、同時接続数が他社より圧倒的に多いと話していますが、技術的な差別化は、2、3年経てば絶対埋められると思っています。だから技術の優位性ではないコミュニティづくりやカルチャーづくりに力を入れないといけない。

クラスター株式会社代表取締役CEO・加藤直人(かとう・なおと)

國光

やっぱりVRにしかできない体験をどう作るかが成功の鍵だよね。海外で成功しはじめているのは、VR空間でエレクトリックミュージックやアニメーションを作るようなサービス。来年後半にはVR市場が本格的に立ち上がってくるので、そこまでにどういう準備をしておくかが一番重要になるんじゃないかな。


VR市場は来年末には、今年の「Nintendo Switch」ぐらいになると思います。今だと「Nintendo Switch」の販売台数は全世界で500万台くらい。まだまだ爆発的な数じゃないけど、500万台を超えれば売れるタイトルはミリオンを超えてくる。


ハード面で言うと、流行るために必要な要素は2つある。1つはハードがみんなの手に届くくらい安くなること。2つ目はキラーコンテンツが出ること。


ゲームの歴史を見ると5万円以上のハードは売れた試しがない。それで言うと、今冬に発売されると言われているGoogleが開発したVRプラットフォーム「Daydream」も、おそらく5万円を切る価格で出るはず。来年の今には邪魔だったセンサーやコードもない5万円を切ったハードが出揃うんじゃないかな。あとはキラーコンテンツさえあれば「流行る」という下地が十二分に整うはず。

バーチャルにリアルなんて求めてない

國光

「cluster.」のキラーコンテンツはどういうものになるの?

加藤

2018年までに作りたいのは、ゲームじゃなくて音楽ライブですね。わざわざVRを被って何をしたいか・・・ライブみたいな「ハレの体験」が一番大きいかなと思っています。

國光

海外にはVRキャラクターものって1つもない。アメリカでのVRやバーチャルリアリティのイメージは、セカンドライフ。セカンドライフが目指していたのはバーチャル空間に現実を再現するバーチャルリアリティで、それって結局リアルなんですよね。でも重要なのはリアルに感じることであって、リアルを再現することじゃない。特に日本はバーチャルの捉え方が特殊だよね。

加藤

そうですね。誰もリアルであることを求めていないんです。せっかくバーチャルなのに、なんでリアルじゃないとダメなんだと。日本は完全に「バーチャル」リアルという言葉の通りで「実質」リアルなバーチャルリアルなんですよね。


バーチャルアイドルも流行るとしたら、日本、韓国、中国だと思っています。キズナアイ(https://www.youtube.com/channel/UC4YaOt1yT-ZeyB0OmxHgolA)というバーチャルYouTuberも開始してまだ1年経っていないけど、チャンネル登録者数は80万人超えです。日本語のコンテンツですが、ファンは韓国、中国も多いです。

國光

たしかにバーチャルでやると海外で展開しやすいよね。極論を言えば、声優を変えればその国に合わせて出せるようになる。

加藤

はい。それに日本の声優さんの市場はコンサートやCDの売り上げもアイドルに匹敵する規模なので、そういう方にも上手く使ってもらえるサービスにしたいですし、クラスターだからこそできると思っています。

バーチャルに恋する未来−−いずれリアルは贅沢品になる!?

「引きこもりを加速する」とありますが、リアルなコミュニケーションがなくなったり、極論としてVRで少子化が進んだり・・・なんてあるんでしょうか?

加藤

いや、リアルなコミュニケーションがなくなることはないと思います。引きこもりを加速して、僕が減らしたいのは無駄な移動時間なので。

國光

VR(バーチャルリアリティ)、AR(拡張現実)があって、そのあとにMR(ミックスドリアリティ)がある。最終的に目指している世界はMR。リアルとバーチャルが完全にシームレスに行き来する世界です。


たとえば、僕らが会話をしているときに、それぞれの名前や所属が頭の上に表示されていたら便利ですよね。その場合は10%ぐらいがバーチャルで、90%がリアル。話している最中に会議室の風景をハワイに変えることができたら40%ぐらいがバーチャル。で、直接会議室に来るんじゃなくて別の場所から参加して、会議室にはホログラムが投影されているようになると80%ぐらいがバーチャルで20%ぐらいがリアルという感じで、リアルとバーチャルがシームレスに融合することを目指しています。

加藤

そうですね。だからコミュニケーションのかたちは変わるかもしれないけどコミュニケーションが減ることはないと思っています。ただ確実に言えるのは、会議のための無駄な移動時間など非合理な部分は減っていく。それを「引きこもりを加速する」という言葉に込めています。

國光

あ、でも少子化は進むってことでいいですよ。

え、いいんですか?

國光

だって、普通に考えてバーチャルアイドルとか超ヤバいでしょ。近い距離で握手し放題だし、しかも怒られない。

加藤

間違いも起きませんからね。

國光

いや、課金したら間違いを起こせるかもしれないから、そっちはDMMに任せよう(笑)。それにAIが進化するともっとやばいよね。

加藤

AIに恋をしてリアルの人間に恋をしなくなりますよね。

gumi代表取締役社長・國光宏尚(くにみつ・ひろなお)

國光

で、加藤くんはどうするの?VRとAIが一緒になってきてバーチャルアイドルを出したときに、リアルな女性に行くの、それともバーチャルなほうに行くの?(笑)

加藤

それはすごく難しいですよね・・・。自分の中では電子書籍と紙の書籍の違いかなと思っていて。電子書籍が当たり前になって、いずれ紙の書籍は娯楽品になる。だから人間との恋愛は贅沢品になるんじゃないかなと。人間と付き合うのは贅沢で、ほとんどはAIで経験しておく。気まぐれが起こるような人間との出会いは贅沢品。たまにふられること自体も贅沢になる。

國光

もう、それ完全に引きこもりを加速させてるよね。でも、VRで引きこもりが加速する一方、ARがリアルコミュニケーションを加速させるかも。たとえばARメガネをかけたら顔認証で相手がどんな表情かを読み取ってくれて、それを元に会話の内容を提案してくれたり、その話を過去にしたことがあるかどうかも教えてくれたり。


彼女の好みに合いそうなお店もリストアップしてくれて、「ここに行こう」となったら予約も完了している。その後の可能性もパーセンテージで表示されたりしてリアルのコミュニケーションをARがサポートしてくれるかもしれない。つまり、VRは引きこもりを加速させて、ARはリア充を加速させる。

きのこの山とたけのこの里のような、VRとARの対立がありそうですね。どちらにしても、女性としては何とも言えない気持ちに・・・。

國光

男性向けより、女性も楽しめるAIのほうが簡単に作れるんじゃないかな。男性は女性より答える回答パターンが少ないですから。「たしかに」「わかるよ」「大変だね」とか。さっきのバーチャルアイドルは女性向けにはしないの?

加藤

その発言は怒られますよ(笑)。でも男性アイドルはめちゃくちゃ需要があると思っています。なので、そこはエイベックスさんに期待しています。『おそ松さん』や『キンプリ(KING OF PRISM)』もありますからね。親和性はすごく高いと思うので開拓したいです。

國光

アメリカのVRユーザーはコアなゲームユーザーで男ばっかりなんだよね。だから、米国だとゲーマーに刺さるようなコンテンツが中心になってきている。でも日本ではバーチャルアイドルやアニメコンテンツが出てくる。であれば、イケメン系だったり女性も楽しめるコンテンツが出てくると面白いよね。


VRエンターテイメント施設の「VR ZONE SHINJUKU」も女性客が半分くらいいるし、日本だとVRがコアなゲーマーのものではなくもっと幅広い市場になる。それ自体がユニークだから、さらにユニークなコンテンツをベースにしていけば世界中、特にアジアに届くよね。

「黎明期」の課題はすべてビジネスモデルになる

スタートアップに入社する楽しさはどういう部分だと感じますか?

加藤

僕はスタートアップ以外やったことがないので参考にならないかもしれませんが、スタートアップって本当にゼロから作らざるを得ない状態なんです。VRは黎明期で、これから伸びるしかない領域ですが、地盤も自分たちで作るしかない。自分たちでルールも作るので、すでにあるルールの上で戦うのとは全然違う。自分たちが作ったルールで、後から入って来るプレーヤーが戦う。そういう地盤を作る楽しみは、スタートアップ以外では絶対にできないと思います。

國光

そうだよね。やっぱりスタートアップは自分を成長させたい人にはすごく向いている。結局、既存の枠組みがある会社だと言われたことをする場合が多いけれど、新しい業界だとそうはいかない。俺もVRならではのコンテンツが何かわからないしね。だから仮説を立てて、合っている、合っていないを繰り返すしかない。でも、実はその道って、結構簡単だと思っています。


みんなVRはハードが高いとか、コードが邪魔だとか酔うとかいろいろ言うけれど、そう言われていることが全部ビジネスモデルになる。安くしたら儲かるし、酔わなくしたら儲かるし、センサーをなくせば儲かる。自分たちが黎明期でやっていて不満に思うことすべてが課題で、その課題を解決することすべてビジネスになっていく。


それにまだ新しい市場だから、昔ながらの偉そうな人もいない。まあ、VR業界では唯一、俺みたいなジジイはいるけどね(笑)。


ゲーム業界でも家庭用ゲームなどでは、新卒2、3年目で最新ハードのゲームを作らせてはもらえなかったりする。でも、VR業界にはまだエキスパートがいないから、上にどんどんいける。それに市場もできていないから、各社がシェアの奪い合いではなく、みんなで市場を盛り上げるために頑張るというか、全員で1つの産業や歴史を作っていくのは楽しいと思いますよ。

「無駄な移動しなくていい社会」を実現したい−−クラスターCTO田中宏樹氏

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「クリエイターがぶっとんでいられるようにする」−−クラスターCOO岩崎司氏

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「玄関を出たくない」引きこもり生活の不満と夢をVRに託す−−クラスターCEO加藤直人氏

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圧倒的な技術力で、未来の到来を、ひきこもりを加速します。

加藤直人/ 2015年7月/ 13 人/ VR業界/

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