株式会社アペルザ
えっ!?ロッテ里崎が「これからの時代」に活躍する人材?元楽天イーグルス球団社長が語る
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インターネットと製造業を結びつけた「第4次産業革命」の動きが世界中で加速している。そのような状況の中、製造業向けにインターネットサービスを提供する「アペルザ」が奮闘している。今後日本の製造業はどう変わっていくのだろうか。アペルザ代表の石原誠氏と、同社経営顧問で元楽天球団社長の島田亨氏に、今後の業界とこれからの時代に活躍する人材を予想してもらった。

KNOCKS編集部より

2018/02/16
  • 島田 亨TORU SHIMADA
    株式会社USEN-NEXT HOLDINGS
    取締役副社長COO

    株式会社アペルザ 経営顧問。1987年、株式会社リクルートに入社。1989年6月、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)を設立し、同年9月に取締役に就任。1995年に取締役副社長に就任した。2000年からエンジェル投資家としての活動を始め、通算約80社のベンチャー企業に投資をし、メンターリング活動を行っている。2004年10月、株式会社楽天野球団に入社し代表取締役社長に就任。08年には三木谷浩史氏よりオーナー職を引き継ぎ、球団社長と兼任した。2006年には、楽天株式会社取締役常務執行役員に就任し、2014年には取締役副社長執行役員に就任、翌年2015年には代表取締役副社長に就任。楽天株式会社を退任後、現在は株式会社USEN-NEXT HOLDINGS取締役副社長COOを務めている。株式会社アペルザでは経営顧問として同社の経営にかかわっている。

  • 石原 誠MAKOTO ISHIHARA
    株式会社アペルザ
    代表取締役社長

    新卒で株式会社キーエンスに入社。2001年より社内ベンチャープロジェクトとしてキーエンス初のインターネット事業「iPROS(イプロス)」の立ち上げに参画。2014年3月にイプロスを退職し、教育系(EdTech)スタートアップを創業。その後、複数のスタートアップ起業経験を経て、2016年7月、株式会社アペルザを創業する。

「何が成功のカギになるのか?」と質問された

石原

実は、アペルザの事業を構想している頃、一番最初に相談したのが、島田さんでした。弊社のCTOの塩谷(楽天出身)が、とにかく島田さんのことが大好きで、「早く話をしたほうがいい」と盛んに言っていたからです。少し緊張しながら、伺ったことを覚えています。

石原さんから事業の話を聞いたときの感想はどうでした?

島田

すごくシンプルに「良いところに目を付けたな」と思いました。もう1つ、インビジブル(目に見えない)な参入障壁が高い事業なので、「これはうまいな」とも思いました。 

石原さんの印象はどうでしたか?

島田

頭が良くて、業界経験が長くて、実績をちゃんと出してからやってきたので、「ようやくシニアのアントレプレナーが出てくる時代になったんだな」という印象を持ちました。若者が勢いだけでスタートさせたベンチャーではなくて、一定の実績を持ってきたと。


日本では、優秀な人はいったん大企業に入るケースが多いと思います。その中から、一定の経験を積んで、技術や人脈を持った段階でスピンアウトする「アントレプレナー」がようやく出はじめていますが、石原さんもそのうちの1人だなと思いました。 

石原

一般の人たちにとって、製造業は縁遠いものなので、島田さんに事業を理解していただけるかという不安がありました。だけど、島田さんクラスになると関係ないですね。当時、とてもシャープな質問をされたことを今でも覚えています。

どんな質問だったのですか?

石原

ビジネスモデルを瞬時に理解をした上で、「どのような属性の売り手と買い手を、どのような順番で集めていくのか?」という質問です。コンセプトは正しいけれども、売り手と買い手のリアルなニーズを満たさなければマーケットプレイスは成立しません。それをどのように構築していくのか、当時まだ先が見えていませんでした。


だから、ある程度、事業をプランに落としてから、改めて島田さんのところにうかがいました。そのときに「エンジェルとして入っていただきたい」とお願いしました。ある程度、自分たちも先が見えていたので、ようやくちゃんと自信を持って話せたなと思いました

島田さんとしても、これはいけるんじゃないか、と?

島田

はい、そうですね。起業には2つのパターンがあると考えていて、1つは、まったくこの世にない市場を創り出すというアプローチ。もう1つは、世の中にすでに存在している市場。できればそれがものすごく大きい市場で、ある種オールドファッションだとかレガシーになっていて、これをドミノ倒しのようにひっくり返していくというアプローチ。


アペルザがレアなのは、その両方であるところです。すでに存在している製造業という市場を単にひっくり返していくだけでなく、そこに新しいビジネスモデルを作っていこうというチャレンジをしているので、僕にとってはとても稀な会社です。


製造業というマーケットがあって、その中でも「完成品メーカー」というマーケットの裾野が広がっているのですが、そこに目をつけた。そうはいっても、直接材などは、すでにインターネット化がはじまっていた。しかし、設備を作るための「間接材」のマーケットはまったく手付かずだった。これは「知っている人しか気がつかない」というポイントだったので、とても可能性を感じました。 

では、そこはもう二つ返事で出資に応じようと?

島田

そうですね。二つ返事でした。その場で(笑)。

大企業の中でくすぶっている人たち

そこから島田さんはエンジェルとして入られた。経営の相談も頻繁にされていますか?

島田

経営のメンターとしてサポートできる問題が起こったときに、集中的にサポートしています。特に、僕はシードステージのベンチャー企業の組織や人、ファイナンス面をサポートしているので、そういうところに関してです。 

実際に仕事を一緒にして、第一印象は変わらないままでしょうか?

島田

むしろ確信めいたものになっています。やはり、その業界にいて、知識がちゃんとあって、しっかりしたベースに基づいて、その業界のレガシーな方法に慣れた人たちを変えようという意識がある。とても可能性を感じます。 

石原

ありがとうございます。島田さんは、たくさんの会社を見ていると思いますが、うちみたいなシニアなスタートアップは少ないんですか?

島田

数は少ないですね。累積で80社くらいに投資していますけど、シニアで一緒にやったのは、5社くらいです。 

石原

そんなに少ないんですね。製造業は特にそうだと思いますが、比較的大きな会社に勤めていると、そこをやめて外に出るのが怖くなっちゃうんですよね。私も自分で起業することはまったく考えていなかったのですが、いざはじめてみると怖いものではないことに気づくんですよね。 

島田

そのことを、もっと世の中に知ってもらわないといけないと思いますよ。

石原

製造業の人たちの中には、優秀な方がたくさんいます。言葉を選ばずに言うと、「大企業の中でくすぶっている感」がありますので、もっと積極的に外に飛び出してほしいです。

シニアだってベンチャーやっていいじゃないか、ということですね。

島田

むしろ、ぜひやってほしいです。仮に45歳ではじめたとしても、それから25年働いて、70歳でもタックスペイヤー(納税者)になれるわけですからね。 

国にとってもプラスですね。そういうのも島田さんとしては、応援していきたいですか?

島田

シニアのアントレプレナーを特別に応援しているわけじゃないけれど、今後はそういう人たちが自然発生的にもっと増えていくだろうから、僕のエンジェル投資のライフワークとしても比率が増えていくと思っています。 

起業のハードル自体が下がっているのもありますね。しかも大人になってくると、応援してくれる人もそれなりに揃ってきて、若者が「えい!」ってやるよりは、実は成功確率が高いんじゃないかと思います。

島田

そう思います。ただ、年齢とともにやっぱり背負っているものがたくさん増えていくので、なかなかしんどいですよね。

石原

私も、キーエンスで、子会社の経営に携わらなかったら、たぶん今の自分はないと思います。助走期間が、今の自分につながっていると感じます。


恥ずかしい話ですけど、もともと経営には興味がなかったんです。「自分で会社をやるなんてとんでもない」と思っていたくらいです。ただ、やってみると面白いということがわかる。今では「絶対やったほうがいいよ」と伝えているほどです。 

島田

そんなに怖がらなくても、まともに考えて、働いて、怠けようとしなければ、たぶん大企業で働いているときよりも収入は上がります。キャピタル・ゲインが出るかは状況によりますが。

優秀な経営者の近くで働くことのメリット

起業まで踏み込めない人たちが、スタートアップ、ベンチャーに就職転職していくわけですが、それについて島田さんはどんなふうに見ていますか?

島田

踏み込めない人たちが、疑似体験的にベンチャーに転職するのは、逆にリスクが大きい。むしろそれだったら、腹をくくって起業したほうが良いと思います。大きな会社にリスクがないとは言わないけれど、そもそもベンチャーと大きな会社、比較すればベンチャーのほうがリスクはありますから。 


ただ、優秀な経営者の近くで経営を見たり、肌で感じたりすることは、いざ起業するときの大きな経験になります。そういう観点からは「アリ」だと思いますよ。たとえば、「経営者は決断力が必要だ」と言われても、すぐに決断の仕方はわかりません。だけど、目の前で毎日決断している人を見ていると、「ああ、こうやって決めちゃっていいんだ」ということが実感できる。 

石原

そうですね。そばに寄り添っていると、自分が決断している気になってくるんですよね。やがて、それが疑似体験に近いものになって、「自分でもできるんじゃないか」という気持ちになります。

島田

組織の中では、ロジックだとか、プレゼンテーションだとか、リサーチだとか求めるけれど、経営者の決断を見ているとすごく感激します。「えいや!」でいける。「ああ、この人、8割方いけると思ったんだな」みたいな(笑)。 

石原

そうですね。僕もキーエンスのとき、ボスが下した判断について、あとからその理由を聞いたことがあります。そうしたら、あまりロジカルじゃなくて(笑)。「じゃあ僕でも」って、逆に自信になりました。 

島田

むしろ決断する以上に、物事を進めて、足りないものをどうやって補っていくかというプロセスを考えなくてはいけない。

石原

はじめるよりも、どう育てるかのほうが重要ですね。 

島田

不思議なことに、会社の組織になると、決断するためのロジックとか、準備とか、そういうところにコストがかかる。そうすると、サラリーマンたちは、経営者として育っていかない。 

石原

本屋に行くと、「そんな本を読んでも意味ないんじゃないかな」と思うようなタイトルの本がずらりと並んでいます。ミスリードしてしまいますよね。過去の自分が、まさにそうだったんですが(笑)。 

まずは起業すべきだと思いますか?

島田

人様に迷惑をかけない限りはそうですね。奥さんだったり、お子さんだったり、親御さんだったり。あとは、お金の面でも、人様に迷惑をかけない工夫は必要です。借り入れしない限りは、リスクは自分のお金です。起業するのは良いと思いますよ。 

「成長も変化もしないまま、しがみついているのはダメ」

島田さんはいろんな業界や会社、いろいろなセクターを見てこられたと思いますが、やはり成功される人に共通する要素はありますか?

島田

切り方によっていっぱいありますよ。たとえば、物事を単純化できる人です。なぜ単純化するのがいいかと言うと、自分の中で納得しやすいし、人にも伝わりやすいからです。複雑なものだったとしても、あえてそぎ落としてシンプルにできる力のある人は強い。あとは、人の力をうまく使える人です。その2つですかね。


たまに、スーパーコンピュータみたいに、すべて自分で考えて、決断して、人を動かして、それでもつまずかないで、大きくする人もいます。しかし、それは例外です。そういう人はスーパーマンだと思いますよ(笑)。 

逆に、うまくいかない経営者や起業家は?

島田

一番は、決断ができない人です。そして、変化が苦手な人でしょう。変化をガンガンする人のほうが良いです。「あれ?3カ月前とやろうとしていることが違うじゃないか?でも、たしかにそっちのほうが理にかなっているよね」と(笑)。変化というか、進化しちゃう人が成功します。成長も変化もしないまま、しがみついているのはダメですね。 

石原さんはどんなタイプでしょうか?

島田

石原さんは一見派手じゃないのですが、バランスが良くて、レベルが高いです。物事をシンプルにする力があり、一般の人たちにはわかりにくい製造業のことも、わかりやすく伝えることができる。そして、人をうまく使っていると思います。

営業活動そのものをネットにシフトさせていく

そうすると、石原さんは、スケーラビリティがあって、グローバルで、そういった部分でいけるんじゃないかと。

島田

そうですね。途上国にだって製造業はありますから。逆に、途上国で金融業をやるのはなかなか難しいけど。

外から見ていて、アペルザは設立から1年ちょっとで、ものすごく垂直立ち上げされているように思えます。島田さんから見てどう評価していますか?

島田

もっと早く立ち上がっているところもありますからね(笑)。軸足をどこに置くのか迷っていた期間が若干あったせいかもしれませんね。メディア、EC、いくつかあるんですけど。 

石原

実は最近、自分でも腹落ちする考え方を見つけたんです。元々、製造業のECビジネスを検討していたのですが、BtoBとBtoCの違いを意識してなかったんです。でも、そこには大きな違いがありました。


BtoCのビジネスというのは、そもそも店舗があって、そこにお客様が来てくれます。なので、オンラインになっても同じように店舗を構えておけば、お客様は来てくれます。


でも、BtoBはその真逆なんです。営業がお客様のところに売りに行くというスタイルです。オンラインに店舗を構えたところで、急にお客様が買いに来てくれるわけではありません。だから、売りに行くという営業活動そのものをネットシフトさせないといけない。これに気づくまでに時間がかかりましたが、見つけてから、自分の中でいろいろなことがすごくクリアになりました。

島田

すばらしいです。まさに営業活動そのものをデジタル化していくのが、ポイントだと思います。だから、eセールスですね。

石原

ありがとうございます。キーエンスで働いていたころは、ロジックで固めないと企画を通してもらえなかったのですが、スタートアップは違います。ロジックで説明できる時点で、大手が参入してくるわけで、僕たちがやる仕事じゃないのかもしれないと思いはじめました。ある程度詰めたら、あとはもうやりきるのがスタートアップらしいのかなと考えているので、先ほどの島田さんのお話は非常にピンとくるものがありました。

スタートアップで活躍する人材とは?

島田さんは、インテリジェンスを立ち上げて、楽天イーグルスも立ち上げた。そういうところでも、スタートアップの経験があると思います。そういう中で活躍していくのはどういう人でしょうか?

島田

よく言われることですが、自分に「エンジン」を積んでいる人です。年齢やキャリアは関係なく、荒削りでもよいです。付け加えると、さっきと同じ話になりますが、考えるよりも先にやってみて、痛いと思ったら、やり方を変える人です。 

やはり、起業家マインドがないと成功は難しいと?

島田

そうですね。逆に言うと、そういうマインド持っていると、ベンチャーの中ではやれる仕事がいっぱいあるから楽しいんですね。ベンチャーなのに、そういうマインドセットになっていない会社はたくさんありますけど。そういう意味で、シニアのアントレプレナーが陥りがちなのは、そこでしょう。組織の作り方がそうなると、社員に対する環境の与え方がそうなる。なんでもかんでも仕組みやルールを作るとか、大人すぎるところが。 

アペルザはどう工夫していますか?

石原

いろいろ工夫しています。月に1回「Makoto賞」というMVP表彰をやっているのですが、この賞ができたきっかけというのは、あるエンジニアが、頼んでもいない機能を自由研究と称して勝手に作ってきたことです。「こんなのできたんですけど、ちょっと触ってもらえますか?」って。出来栄えとか関係なく、行動そのものが素晴らしいと思いました。なんとか、そういう文化を生み出したいなと思って、会社としてメッセージとして見せたくて、賞を作ったんです。 

さっきから聞きたいことが一つあるんですが、石原さんを野球選手にたとえると誰ですか?(笑)

島田

それはちょっと面白いから考えますね・・・元ロッテの里崎智也選手です。 あまり知られていないかもしれませんが、三拍子揃った捕手です。頭が良いからピッチャーをリードできるし、キャッチングもうまい。必要なところでちゃんと打てる。残念ながら、巨人の坂本勇人選手じゃない(笑)。 

製造業を新しく革命していこうというアペルザに向いている人にメッセージをください。

島田

基本的に、アントレプレナーシップ(企業家精神)は持っていてほしいですが、やはりメーカーのことが好きな人にきてほしいです。詳しくはなくてもいいんですけど、「メーカーは大事だ」とよくわかっていること。モノ自体をリスペクトするから、ちゃんとサポートしようという気持ちになれるんですよ。


僕はインテリジェンスのときに、メーカーが好きで金融が嫌いでした。だから、金融業のお客さんはまったく開拓しなかった。ほとんどメーカーです。結果的には、業績を上げないといけなくなって、メーカーだけじゃなくなっちゃったんだけど(笑)。でも、やはり、自分の原動力はメーカーです。


その当時はバブルだったので、優秀なエンジニアが金融や商社に流れていました。「これはいかん。やはりメーカーだ!」と思って頑張りましたよ。そういう思いを持ってくれる人がアペルザに入ると、メーカーをサポートする会社として良いと思いますね。 

石原

実は、私も同じ話を社内でよくしています。弊社に入社してくるのはネット業界の出身者が大半なのですが、「ものづくりが好きだ」とか「日本の製造業を何とかしたい」、あるいは「そういう環境で育ったのでライフワークだと思っている」という人が多いのです。何か確信めいたものを持っている人というのは腹が据わっていて、最後の粘りどころで出せるパワーが違うと感じています。


アペルザは「インターネットの会社」です。でも、お客様は「製造業」。だから、インターネットの業界から、優秀な人を採用していくことが、結果的に製造業のためになると考えています。 

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株式会社アペルザは事業を通じて、ものづくりにおける「情報流通」「取引のあり方」「コミュニケーション」という3つのバリアを取り除くことで、新しいものづくりの産業構造の構築に貢献することをミッションとしています。 日本の基幹産業である「製造業」を支援し、今以上に国内外で活躍する企業を増やしたい。同時に、世界規模のムーブメントとなりつつあるインダストリー4.0やスマートファクトリー、IoT領域などにチャレンジするスタートアッププレイヤーを増やしたい。ひいてはものづくりに関わる人を増やしたい。そんな思いで事業に取り組んでいます。

石原 誠/ 2016年07月/ 784,000,000円/ インターネットメディアの運営/