rubygems.orgでのダウンロード数「1億超え」のエンジニアが「クラウドポート」に入社した理由

ソーシャルレンディング比較サイトを運営する「クラウドポート」で働くエンジニアは現在3名だ。そのうちの1人、桑田誠氏はかつて「未踏スーパークリエータ」にも選ばれたことがある。また、若松慶信氏は京都大学大学院で応用物理を研究するも、中退してwebの世界に飛び込んだ経験がある。それぞれ「濃い物語」を持つ2人に、クラウドポートに入社したきっかけや技術に対する考え方を聞いた。
桑田誠(くわた・まこと)
株式会社クラウドポート・エンジニア。主にサーバサイドとクローラを担当。Ruby on Railsでも採用されたテンプレートエンジン「Erubis」の作者(Erubisはrubygems.orgでのダウンロード数が1億超)。さまざまなカンファレンスで大小30以上の発表経験あり。前職が、クラウドポート共同創業者の柴田が起業した会社であり、その繋がりでクラウドポートに入社。それ以前は、Javaを使っていた会社でJavaに辟易し、PHPを使っていた会社でPHPに愛想を尽かし、Railsを使っていた会社でRailsに見切りをつける。次に見切りをつけるのは、DjangoとMySQLの予定。
若松慶信(わかまつ・よしのぶ)
株式会社クラウドポート・エンジニア。京都大学工学部物理学科卒業、京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻中退。2011年4月よりナイル株式会社で、社内Webシステムの開発やディレクション・社内インフラの構築などに従事する。2014年よりアプリ発見サービス「Appliv」のバックエンド運用・サービス拡大のための基盤開発・広告システムのアーキテクチャ設計・開発やその運用を担当した。2016年11月、株式会社クラウドポートに入社。

クラウドポート共同創業者は「世の中を良くする」ために起業した

――2人はいつごろクラウドポートに合流したんですか?

若松:クラウドポートは2016年11月設立なんですけど、僕はそのときから働いています。

桑田:僕は2017年4月からです。

株式会社クラウドポート・エンジニアの桑田誠(左)と若松慶信

――大学ではどんな勉強をしていたんですか?

若松:大学は物理系で加速器の応用に関する研究をしていました。これはwebやITとは関係のない分野です。webに関しては、大学時代に開発のアルバイトをやっていたのと、web黎明期だった小・中学生のころ、自分でサイトを作ったりCGIで掲示板を作ったりしたことが原点ですね。

桑田:僕の学生時代はまだネットがそこまで普及していなかったです。大学の専攻がコンピューター系だったので、それを活かそうと思って、新卒でコンピューター系の会社に就職しました。ようやくそのころ、上司が「これからはインターネットだ!」と言い出してましたね。

――クラウドポートに入る前はどんな会社にいたんですか?

桑田:株式会社スポットライトにいました。クラウドポート共同創業者の柴田(陽)が、スポットライトの創業者でもあるんです。柴田が「エンジニアを募集している」と言うので、話を聞きに行きました。そこで「また柴田さんと仕事をやれるんだったらいいかな」と思って、クラウドポートに入社することにしたんです。

――柴田さんとは、どれぐらい一緒に仕事しているんですか?

桑田:スポットライト創業の間もなくからです。前の会社にいたときからずっと「経営者と起業家は違う」という考えを持っていました。

柴田は世の中を良くするための手段として、「まず起業する」というのがあります。一方で、いわゆる「意識の高い人」の中には「自分が有名になりたいから」「ビッグになりたいから」「経歴に箔を付けたいから」という理由で、経営者になる人がいます。それだと働き方というか、居心地がだいぶ変わると思います。自分にとって柴田は、心地よく働ける相手だったんです。

――2人から見て、クラウドポート代表取締役の藤田(雄一郎)さんと柴田さんって、どんな人ですか?

桑田:藤田は「新しいことをしよう。そして、お金に関して一般の人の意識を高めよう」という思いがとても強いです。柴田はおそらく、今後もどんどん起業していくと思います。たとえばソーシャルゲームで儲かっている会社は多いですが、中にはユーザーから搾取するような仕組みのところもある。それは世の中を良くすることではないと思うんです。

一方で、社会の問題を解決するとか、社会を良くするとか、そういう目的で起業する人は、少数かもしれない。柴田は「社会を良くするため」に起業していて、今回もそのステップの1つだと思っています。

若松:僕の知っている社長は個性の強い方が多く、社長に対してある種の先入観を持っていました。その点、藤田はそのイメージを変えるような、とても接しやすい人だと感じています。また、ソーシャルレンディングの事業経験を踏まえてクラウドポートの起業に至っているなど、業界に強いこだわりを持っているところも良いなと思っていますね。

――若松さんがクラウドポートに移ったきっかけは?

若松:前職のナイルではメンバー20人、そのうちエンジニアが僕を含めて3人というフェーズから、組織が成長していく過程をみてきました。開発のみならず、社内やサービスのインフラ構築、開発組織のマネージャーとして組織設計なども経験し、「一通りやることはやった」という気持ちがあったので、次のチャンスを探していました。

前職もまだ比較的人数の少ないタイミングで入ったとはいえ、それなりに組織としては出来ていたので、次は最初の1人目として取り組みたいと考えていました。そんな中、とある投資家の方から柴田を紹介していただきまして。「面白い人なので、一度会ってみるといい」と。

株式会社クラウドポート・エンジニアの桑田誠(左)と若松慶信


柴田から日本でのソーシャルレンディングの現状と可能性、そしてこのタイミングなら最初のエンジニアとして取り組めることを聞き、まさにこれが探していた環境だという想いでした。あと、最初に柴田と話した際に「すごいエッジが効いていて、一緒に仕事をしたら面白そうだな」と感じたのも大きいですね。

システムをイチから作るのは、まさにエンジニアのスタートアップ

――クラウドポートのエンジニアは現在何名ですか?

桑田:3人です。だから、もう「何でも屋」ですよ。

――桑田さんは2003年、未踏スーパークリエータ(IPA・独立行政法人情報処理推進機構が、毎年度特に優秀であると評価したプロジェクトマネジャーに与えている認定制度)に選出されてますね。

桑田:懐かしい。でもあまり役に立っていない(笑)。

――そんなエンジニアがなぜソーシャルレンディングのプラットフォーム事業に携わっているか、興味深いです。

桑田:やはり、人との出会いが大きいです。あと小さな規模の会社なので、好きなようにできる、というのはありますね。大きなところに入ると、そこでの仕事はたいてい改修か追加開発がメインです。改修や追加開発は、誰かがやったことを引き継ぐことです。でも、スタートアップ事業は、僕にとっても新規開発です。システムをイチから作るのは、まさにエンジニアのスタートアップなんですよ。

――若松さんがクラウドポートに入ったのは、元々ソーシャルレンディングについて興味があったからなんですか?

若松:ソーシャルレンディングについては、柴田から聞いて初めて知りました。このソーシャルレンディングという事業領域に成長性を感じたのは、入社理由の一つですね。

開発について言うと、桑田と違いそこまで新規開発にこだわっていません。システムやプロダクトを作りたいというより、仕組みを作ることが好きなんですね。仕組みを考えて実現し、うまくワークしたと感じることに喜びを感じます。対象はアプリケーションであってもいいし、チームの動かし方でもいい。同じ技術的な対象でも、ネットワークやミドルウェア構成の話はアプリケーションの設計とは異なる考え方が必要で、それぞれに面白みがあると思います。そして途中からチームに加わると、多かれ少なかれ既にできている仕組みがあるので、1人目のメンバーであるというフェーズにもこだわりを持っていました。

――エンジニア3名、それぞれの役割ってあるんですか?

桑田:システムでいえば、僕ともう1人がサーバーサイドを担当しています。若松がフロントエンドを主に見ています。だけど、人が少ないので両方やっている感じです(笑)。

若松:僕もフロントエンドが専門かというと、そうではありません。サーバーサイドの経験の方がメインです。「今のチームだと、フロントエンドをやったほうがいいからやる」みたいな感じです。

できれば簿記くらいの知識は持っていてほしい

――2人はお互いをどういう印象でとらえていますか?

株式会社クラウドポート・エンジニアの桑田誠(左)と若松慶信

桑田:僕から見ると、若松はオールマイティな気がします。今はフロントエンドを主にやっていますけど、サーバーサイドのこともわかるし、インフラのこともやっている。社内ネットワークの構築など、非常に幅広くオールマイティにやっている印象です。

若松:桑田はOSSの開発に携わっている経験と、エンジニアとしてのキャリアの長さからくる、エンジニアとしての造詣の深さを感じますね。技術的なディスカッションをしていると、アプリケーションの話だったのがOSやファイルシステムの話になったりして、エンジニアとして知るべきことがまだまだあるなと感じさせられます。

――クラウドポートで使っている技術には、どのようなものがありますか?

若松:開発言語でいうと、サーバーサイドはPython、フロントエンドはJavaScriptです。プラットフォームはGoogle Cloud Platform (GCP) を使っています。

桑田:現在の開発では、できるだけオーソドックスに作ることを心がけています。たとえば、アクセス数が非常に大きいゲーム会社の場合、とにかく性能を出すことに注力して、変わったことをする傾向がある。だけど、今のところ、弊社のシステムはそこまでアクセス負荷が高いわけではない。だから、とがったことをせず、なるべくオーソドックスなつくりにしています。

若松:性能面とは違う観点でいうと、最近流行っているディープラーニングやブロックチェーンのような、エッジな技術を必要としているわけでもない。そうなると、サービスを提供する上では、なにかトラブルが起きても解決できることが重要なので、比較的オーソドックスで枯れた技術を使っていると思います。

桑田:せいぜい出すとしたら、クローラー程度ですかね。弊社がリリースしたばかりのサービスに「マイ投資レポート」という機能があります。これはユーザーが持っている複数の口座情報を集計して、1つの画面に表示するシステムです。

「マイ投資レポート」は、サービスとしては新しいほうだけど、技術としてはオーソドックスなものなんです。各社サイトにログインしてhtmlデータを取ってきて、そこから必要な情報を抽出して表示するというやり方です。技術としては以前からあったものです。

ただ、ソーシャルレンディングの会社は、それぞれウェブサイトの仕様も取得できる情報も微妙に違うんです。そういうのを一つ一つ対応していく。どちらかというと泥臭く、地道に各社ごとに対応する作業をずっと続けた結果が今のシステムになっています。

――そういう技術的な面に関しては、どういうプロセスで新規実装が決まっていくんですか?

若松:「マイ投資レポート」は、創業時からやると決まっていました。桑田が入社したのは2017年4月ですけど、そのときには「夏が終わるぐらいまでにはローンチしよう」と話していた気がします。この機能の実現にどういった要素が必要かは、サービスを考える時点で認識していました。クローラーをどのように実装するか、どのようにすれば情報を安全に取り扱えるか、といったより具体的な設計・実装上の課題は、要件が具体化されていく過程で利用できそうな手段を検証し、実現できそうならその方針で実装するという感じです。

――どういう人にジョインしてほしいですか?

桑田:できればインフラでいい腕を持つ人が入っていただけると心強い。技術としては、オーソドックスなので、運用面が重要になってきます。新しい技術を身につけることも当然大事ですが、それ以上にユーザーに喜ばれるものを作ることが大事です。そして、やはり安定した運用ができること。その意味で、やはりインフラをわかっている人に入っていただけると心強い。

若松:スタートアップだと、プロダクトを作るのも改善するのも少人数でやるので、どうしても機能追加や改善の比重が大きくなります。ユーザーに使っていただく機能開発はもちろん重要ですが、それだけに集中していると、運用面の課題が、長期的にはサービスを伸ばす上での足枷になることがあります。現段階ではそこまで手を伸ばせる人がいないので、こうした課題を解決できる、DevOpsやSREなどの領域に興味がある方へ来ていただけるといいなと思っています。

桑田:あと、どうしても金融関係の用語が出てくるんです。藤田と話すなり、メンバーと話すなりにしても。そういうのに拒否反応を示して「俺がやりたいのは技術だけだ」というのだと困りますね。できれば簿記くらいの知識は持っていてほしいです。

銀行のシステムをイチから作ってみたい

――それぞれ「この先はこういうことやりたい!」みたいな野望はありますか?

桑田:藤田と柴田に銀行を作ってもらって、そのシステムをイチから作ってみたいです。今、ある銀行が数千億円もつぎ込んで、新しいシステムを作っているじゃないですか。でも、あれがリリースされたときには、世間がクラウド中心になった今となっては時代遅れになることがわかっている。それに、そんなに大金をつぎ込まなくても、もっとシンプルにできるはずだと思っています。

あとはネットで、過去の自分の口座の出入金明細が、いつまでも見られるといいのに、と思っています。今は、ほとんどの銀行が過去データの保存期間を設定していて、古い明細が見れないのがとても不便。これだけコンピュータやネットワークが発達した時代に「その程度もできないのか、何をやってんだ」って感じがする。だから、柴田や藤田が今後作る会社の中に、銀行があったらいいなと。あ、これって記事にしていいのかな(笑)。

若松:僕は将来、バリスタになりたいんですよね。今も会社でコーヒーを淹れていて、そのために4万円くらいするミルを会社に置いていたり、豆も毎週調達しています。豆は鮮度が重要なんです。時間が経つと酸化したり、風味が損なわれてしまうので、焙煎したての豆がよい。淹れ方も試行錯誤している最中なので、それを突き詰めたいですね。

ちょっとギークな話をすると、コーヒーを入れるためのプロトコルとして、HTCPCP(Hyper Text Coffee Pot Control Protocol)というものがあるんです。ジョークみたいなものなんですけど、一応RFCで仕様が決められた仕様があります。これを実装して出社したらコーヒーができているような環境も実現したい。あとは、そのうち焙煎機なんかもほしいですね。

――そのうちコーヒー畑も欲しくなりそうですね。

若松:仕事が落ち着いたら、ブラジルやエチオピアなんかに行って、コーヒー畑を見てみたいなと(笑)。

カメラマン: きくちよしみ、 ライター: 今井順梨
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