シードスタートアップとシードベンチャーキャピタルがもっと必要
――Skyland Ventures木下慶彦氏が語る「起業家に投資する仕事の面白さ」

スカイランドベンチャーズ株式会社

2017年8月に創業5年目を迎えるベンチャーキャピタル「Skyland Ventures」。26歳で同社を立ち上げた木下慶彦氏は「注意されても『褒められた』と思い込む“ハッピー回路”の持ち主」と評されるとおり、たった一人で数億円もの資金を集め、バイタリティに溢れている。木下氏が代表パートナーをつとめるSkyland Venturesとは、はたしてどんな会社なのか。そして、同社が求める人材とは?
木下慶彦(きのした・よしひこ)
ベンチャーキャピタリスト。U25のスタートアップへの投資をメインに行うシードファンドを運営するSkyland Venturesの代表パートナー。1985年生まれ横浜出身、早稲田大学理工学部卒業。Skyland Venturesをスタートする以前は金融機関系VC、独立系VCに所属していた。“The Seed Maker.”というミッションを掲げ、テクノロジー産業に大きなインパクトを与えるスタートアップへのシードマネーを提供するベンチャーキャピタル(VC)投資を行っています。現在、日本国内を中心に40社超へ投資し、総額14億円を運用。

シード投資は時間がかかる?

――Skyland Venturesとはどんな会社なのか、簡単に教えてください。

木下:わかりました!僕らは「シード期」と呼ばれるプロダクトの準備段階のスタートアップに投資するベンチャーキャピタルです。現在はインターネット企業やその創業者に出資してもらい、累計14億円ほどのVCファンドを運用して、約50社のスタートアップに投資しています。

――14億円! なぜそんなにお金が集められるんですか?

Skyland Ventures代表・木下慶彦氏

木下:「25歳以下のシードステージの起業家に多数投資する」というコンセプトがあるからですよね。僕らのファンドに出資してくれている会社やエンジェルの方は、「若い世代の起業家にアクセスしたい」というニーズがあるんですよ。

結局、何事も早い段階からやったほうが成功するじゃないですか。たとえば、アスリートは生後数ヶ月~小学生くらいから、そのスポーツに情熱を注ぎ20歳前後でプロになれるか、オリンピックに出れるかのジャッジがある。スタートアップもそれと一緒です。25歳以下の若者が創業するスタートアップは、長期的にはとてもうまくいく。そういうビューに共感して貰って資金提供を受けることができている訳です。僕らはそういう起業家を増やしていきたいと思っていて、「The Seed Maker.」というミッションを掲げています。

――シードスタートアップに投資するベンチャーキャピタルは珍しいですよね。

木下:「これからの会社」に投資して成長を待つのは、とても時間がかかる。それよりも、「いまこの瞬間、急成長している会社」が目の前に来るのを待って投資したほうが合理的ではあります。だけど、僕は気づいちゃったんです。「日本で会社を作ってきた若者は、その時点で超優秀だ」という事実に。20歳の東大生が「起業しました」とやって来たら、起業を不安に思う人が多い日本社会においてはそれは才能です。

――だからこそ、シードスタートアップを応援する活動を展開している、と。

木下:はい。VCファンドとしての投資以外にも、「#HiveShibuya」という起業家向けのコワーキングスペースを運営しています。それから毎週水曜、起業前段階の人に会って15分ミーティングを行っている「SEEDS」。「全員に会う」というコンセプトなので、「起業したいけど、何をするか決まっていない」という人にも積極的に会っており、相談がやってきます、その起点は結構Twitterが多いですね。それから「WAVE」というインキュベーションプログラム。短期間で事業をブラッシュアップして立ち上げていこうというプログラムですね。こういう取り組みを行って投資先や投資先になる会社との面をつくっています。

――いまの仕事をしていて「楽しい」と感じるのは、どんなときですか?

木下:自分より若い世代と一緒に過ごせるのは、最高ですよね。起業家はめちゃくちゃポジティブな人が多いんです。そういう人たちと時間を過ごせる。僕は「誰でもみんな起業したほうがいい」と本気で思ってます。自分のミッションややるべきことを持ってものごとに取り組んでいる人は、全員イケてますからね。それに「会社の社長になる」ってことは「孫さんやザッカーバーグと同じ土俵に立つ」ってことですよ?起業家になることほど自由でポテンシャルがあり、エキサイティングなことはないと思います。記者さんも起業しませんか?しましょうよ!

――は、はい、ちょっと考えさせてください!木下さんは、なぜベンチャーキャピタリストを志したんですか?

木下:大学時代、元祖・日本のベンチャーキャピタリストの村口和孝さんに会ったんですね。最初はおもしろいし情熱的な人だなと思った、メガベンチャーと言われるDeNAにも初期投資していて「村口さんのおかげで上場できました」と南場智子さんが感謝している講演を聞いたのは忘れない記憶です。だけど村口さんの言っていることは、僕にはすぐわからないことが多くて、3カ月、半年、1年経って、「あっ!あれは、このことだったのか!」と気づく。そんな村口さんに憧れて大学卒業後は金融系ベンチャーキャピタル、独立系ベンチャーキャピタルを経てSkyland Venturesを立ち上げました。

「5年で50社」じゃ足りない

――なぜ独立を?

木下:日本では “スタートアップ村”に属している会社しか投資が受けられないと思われているんじゃないかと思ったのが元のキッカケです。その枠を広げていきたいんです。独立を決めたいちばんのきっかけは、それですね。けど、創業から5年で投資したのは50社。小さな広がり方ですよ。自分では反省しています。

Skyland Ventures代表・木下慶彦氏

――目標は大きいんですね?

木下:やっぱり投資しまくりたいですよね。本当はあと5年で500社くらいやりたいです。けど、このままのペースじゃどう考えても無理じゃないですか。いかん。どうしよう。ヤバい……!(焦)

――実現するための策はあるんですか?

木下:現実的なところでは、2018年に3号ファンドを立ち上げる計画があります。ここからさらに50社くらいに新規で投資したいですね。すると2019年までに100社、2020年までに150社くらい増やせれば、と。またそこからスターが産まれると思っています。

――地道にやっていくしかないですよね。

木下:僕は「もっとシードステージのベンチャーキャピタルが増えたほうがいい」と最近思います。そうすればスタートアップを始める人がもっと増えるかもしれない。特にシードです。シードがパイプラインなので、シードのVCもスタートアップも増やしたい。そういうエコシステムづくりが大事かなと。

昨日たまたまですが、野球観戦に行ってきたんですよ。野球場には数千人規模の人たちが連日集まるじゃないですか。選手が活躍してスターを輩出するのはもちろん、グッズが売れて、ビールの売り子さんが出てきて、売り子さんとして有名になりタレントになった奇行種的な人が出たりもする。スタートアップ界隈にも、そういう色々な形でサイクルが産まれるエコシステムが必要ですよね。「ここに来たら、みんな熱狂的な集まりがあり、そして成功する人が出たり多様な活躍する人がいるよね」という。そこから変えていかないと。

「自分はイケてない」と思っている人にこそ来てほしい

――いま、Skyland Venturesはどんなポジションで人がほしいですか?

木下:採用活動と思っていろんな方に会ってみたんですがやっぱり「ベンチャーキャピタリスト」なんでしょうね。いずれは自分で独立してベンチャーキャピタルをやりたい人、もしくは起業したい人が良い。次点は、「ベンチャーキャピタル」という世界観の中で本気でやってみたい人。どちらも大学生から社会人25歳以下までがやはり良いと思っています。

――求める条件は?

木下:そんなの意味ないですよ。結局、必要なのは「やる気」!僕よりやる気のある人が来てくれたら、全員採用します。ベンチャーキャピタリスト未経験でもOK。だいたいの人はみんな、やる気ないから。ぜんぜんないよ!(怒)

――やる気の有無はどこで判断していますか?

木下:話せばわかります。「ベンチャーキャピタリストに興味がある」という人から連絡をもらったり、エージェント経由でコンタクトがあったりするんです。そこで何が起きるか。「VC関連や起業家の本、どんな本を読んだ?」と聞いたら、何も読んでない。「ベンチャーキャピタリストに会ったことある?」と聞いたら「誰も知らないので、ないです」と答える。やる気ないですよね。頭いいプロフィールの人がいても実際に行動を落とす人はほぼいないんです。なので、やる気を少しブレイクダウンするなら行動力のある人ということかもしれませんね。

――普通に考えて、そうですね。どんな人ならやる気があるのか……。

木下:起業家で成功する人のタイプとして、『エリートドロップアウト』というのを最近言っています。エリート的なプロフィールなんですが、何かをやめてきた(ドロップアウトした)人であること。そういう何らかのコンプレックスのある人はやる気がありますよね。「ここで何とかしなくちゃ」と思っているから。僕は高校が中堅私立だったんです。

だから、高校の同期なんて全員ダメなわけですよ、同期が大企業で出世していないし、その気配もない。最近その高校から東大に入って起業している人を見つけて投資したんです。これはもう安心。逸材ですよ。その高校で東大に行くやつは年間10人くらい。そして同じ高校から起業するやつなんて、10年に1人いるかいないかかと。

中堅の高校から頑張って東大に行ったやつは、やっぱりいいんです。高校がダメ、大学がダメ、就職先がダメ――そういうコンプレックスを感じていて「自分はイケてない」と思っているドロップアウト組にこそ、うちに来てほしいです。そして向こう2-3年では、大学すら行かないで起業やスタートアップのフィールドで活躍する人も増えて行きそうだと感じています。

――ただ、大企業にいる人は「ベンチャーに転職することで何が得られるだろう」と悩んで、一歩が踏み出せない場合もあります。Skyland Venturesに入社するメリットは何ですか?

木下:うちにくれば、将来的にスタートアップとしても、VCとしても独立できます。そのくらい事業立ち上げの泥臭いところを見れたり、起業するときに必要なネットワークができる。僕の前職では「2年以内に独立しろ」と期限を切られました。これにはとても感謝してて期限があったから余計にその間がんばれました。

 

うちにジョインしてくれる人にも、「2年くらいで独立できるような実力をつけてほしい」と同じように考えてます。ちなみに、いままでうちにきてくれた大学生インターンは大半が起業してます。

まあ、ベンチャーキャピタリスト経験者は、だいたい自分でスタートアップを起業するか、独立してVCをやるか、会社の役員になるかだと思います。起業する気がなければ、投資している中でいちばんイケてる会社に思いっきり詰め寄って、役員になるのが良いかなと思います。

――え。そんなことができるんですか?

木下:やる気があれば、ぜんぜんできるでしょう!うまくいっている会社だって幹部が揃っていなくて、だいたい困ってますからね。うちだってそうですよ。自分一人でおカネを集めてきて投資できる人がいれば、いつでもパートナーにしますし、投資先もそれは同じです。ベンチャーキャピタリストは、それくらいチャンスがある職種だと思いますよ。

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