僕らは目の前に現れた東大生にただ投資しているだけ
――けんすうxSV木下が語る「学歴と才能」――

スカイランドベンチャーズ株式会社

Supership取締役の「けんすう」こと古川健介氏、そしてSkyland Ventures代表パートナーの木下慶彦氏。2人には「早稲田卒、20代で起業」という共通項がある。まわりは高学歴で才能のある人々で溢れているだろう2人。「学歴がないと成功できないのか」「才能とは何なのか」という疑問をぶつけたところ、話は予想外の展開に――!
古川健介(ふるかわ・けんすけ)
Supership株式会社取締役。1981年6月2日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2000年に学生コミュニティであるミルクカフェを立ち上げ、月間1000万pvの大手サイトに成長させる。2004年、レンタル掲示板を運営する株式会社メディアクリップの代表取締役社長に就任。翌年、株式会社ライブドアにしたらばJBBSを事業譲渡後、同社にてCGM事業の立ち上げを担当。2006年、株式会社リクルートに入社、事業開発室にて新規事業立ち上げを担当。2009年6月リクルートを退職し、Howtoサイト「nanapi」を運営する株式会社ロケットスタート(のち株式会社nanapi)代表取締役に就任。2014年10月にKDDIグループにジョインし、Supership株式会社取締役となる。
木下慶彦(きのした・よしひこ)
ベンチャーキャピタリスト。U25のスタートアップへの投資をメインに行うシードファンドを運営するSkyland Venturesの代表パートナー。1985年生まれ横浜出身、早稲田大学理工学部卒業。Skyland Venturesをスタートする以前は金融機関系VC、独立系VCに所属していた。“The Seed Maker.”というミッションを掲げ、テクノロジー産業に大きなインパクトを与えるスタートアップへのシードマネーを提供するベンチャーキャピタル(VC)投資を行っています。現在、日本国内を中心に40社超へ投資し、総額14億円を運用。

「天才は東大にいる」

けんすう:僕らは早稲田出身なんですよね。木下さんは理工学部で、僕は政治経済学部。今は早稲田の起業家講座でご一緒してます。早稲田出身の起業家が学生に話をする講座で、僕らは早稲田にお金を寄付し、しかも講師をタダでやる(笑)。

木下:けんすうさんは、僕にとって大スターです。僕の大学時代からTwitterで有名でしたから。「けんすうさんって会える人だったんだ」と思っていて、尊敬する先輩です。

けんすう:いや。そんなに尊敬されてないです。

木下:いやいやいやいや。尊敬しかありません。

Skyland Ventures代表・木下慶彦氏(左)とSupership取締役・古川健介氏

けんすう:……本題に入りますか(笑)。この対談のテーマである『学歴と才能』についてどう思います?

木下:僕はベンチャーキャピタルを運営していて、IT系のスタートアップに投資しています。それで言うと、やっぱり東大生起業家には、お金を出したくなりますよね。現にガンガン投資してますから。

けんすう:木下さんはシンプルだからすごい。「天才に投資するとだいたいうまくいく」って言ってるんですよ。さらに、「天才はどこにいるんだ?→たぶん東大だ」。といって、東大生に投資しまくる。ここまでシンプルにやれる人は、そんなにいないですよ。

投資を感覚値でやらずに自分の決めた基準で淡々とやる人はすごいと思っているんですが、木下さんはその点、非常に明確ですよね。

木下:僕には人を見極める目がないから、投資の基準を決めてるんですよ。(1)25歳以下である、(2)プログラミングができる、(3)Twitterをやっている、です。東大生には、この基準を満たしている人が多いと思っています。これらをすべて満たす人は意外と少ないんです。

けんすう:たしかに完全に印象だけなんですけど、「若くてまだ何の経験もないけど優秀だな」と思う人は、東大生や慶應生だったりしますよね。早稲田生はあまりいないですね(笑)。起業に学歴ってあまり関係なさそうじゃないのになんで東大生とかが多いんですかね?

木下:なぜなんですかね? こと起業家に限っていえば「友達」が重要だからじゃないでしょうか。現役東大生には起業する人が多いから、起業家コミュニティができやすい。そうすると起業家同士がつるむようになりみんな洗練されていく。だから最速で目標を達成しなければならない時、友達や先輩に聞いたり、力を貸してもらえたりするんです。それと比べると早稲田は結束力が低い気がする。

けんすう:まわりの環境は大切ですよね。

300万円の「はずれない宝クジ」を取りにいかない学生たち

木下:あと、東大生には、Twitterをやっている割合が多いんですね。かたや早稲田生には、学生数に対しての利用率はそれほど高くないと感じます。Twitterをやっていたら、けんすうさんとつながれてエンジェル投資をもらえるかもしれないのに。でも、あまり飛びついてこないんです。そのくらい奥手な人が多い。

僕はよく「いまからお茶できる人はfav!」「焼肉に行く人はfav!」みたいにTwitterで呼びかけるんです。そういう時に来てくれる人は、基本好きですよね。

Skyland Ventures代表・木下慶彦氏

著名な上場企業経営者が僕らの投資先に最近投資していただいたんですが、その理由は「目の前にいたからだ」といいます。実際に起業している、行動している人は本当に少ないので、そのくらいのことで道が開かれたりするケースも往々にしてあると思っています。なので、来てくれる人にが起業家で、それも東大生だったら「天才なんじゃないか」と思って、すぐ投資しちゃいます。

けんすう:ユルいなあ(笑)。でも、「Twitterで知らない人の呼びかけに応じて焼肉に行ける東大生は優秀」って、そんなに間違ってないと思います。行動力があるから。

木下:そうなんですよ! 僕がTwitterでDMを送ると、「返信していいのかな」と迷う人がいっぱいいます。実際、返事は来ないケースもたくさん。スルー。そういう人が多い中で「行きます」と気楽に連絡するような行動力のある人には、絶対投資しても大丈夫ですよ。

けんすう:きっと東大生には自己肯定感があるんじゃないですか? 仮に行動して失敗したとしても「俺、東大だし」と思える。だから行動できるのかも。まあ、「優秀な人には行動力がある」っていう感じはしますね。

木下:「行動力」と言えば、早稲田の起業家講座で印象に残ったことがあります。けんすうさんが「今この場に来てる人が起業したら、無条件で300万円あげます」って言ったじゃないですか。でも、実際には誰も起業しなかった。ちょっとよくわからないですよね。だって会社設立の手続きなんて、20数万円を用意して書類を書くだけですよ? 大学入試の書類を書くよりも簡単なくらい。それで数百万円もらえるのに――。

けんすう:まあ、いったのは僕じゃないんですけど(笑)。でも本当にもらえるなら、絶対にはずれない宝クジですよね。

Skyland Ventures代表・木下慶彦氏(左)とSupership取締役・古川健介氏

木下:ね。日本社会においては「会社を作る」というハードルが超えられるだけで、すでにすごい才能があるのかもしれないと最近思ったりします。いわゆる意識高い系な人は、いざ実際に起業しませんから。

ちなみに東大生じゃなくても僕らは全然投資していますよ。でも実際、東大などトップ大学などを休学して・退学して起業するエリートドロップアウト型が成功するんです。そういう意味で東大などに入ったけど、大学に意味を感じなかった人が事業で成果を出そうと起業するんですよね。

けんすう:25歳以下の若い人が、Twitterをやって、プログラミングをやって、さらに会社登記をする。木下さんはこの3つをクリアして起業すれば「優秀」という基準ですよね。それをほとんどの人がしない。

木下:しませんね。

みんなビル・ゲイツにはメールを送らない

けんすう:木下さんの基準って簡単で、会いに来たり、連絡をした時点で、ひとつの壁を乗り越えているってことなんですよね。つまり、行動力があること自体で、優秀ということだと。

木下:けんすうさんなら、TwitterでもDMがいっぱいくるんじゃないんですか?

けんすう:ほとんどこないんですよ、それが。たまにくるから、会って「投資しましょう」という話になる。もっと気軽に連絡してみればいいと思うんですけどね。僕は学生時代、ビル・ゲイツが日本に来る時、メールをしました。

木下:ええええっ!(驚)

けんすう:返事がこなくて、とても悲しかったです。けど、それもまたこうやって話ができるのでプラスにはなっているわけです。リスクはゼロだからやればいい。でも意外とみんな、ビル・ゲイツにはメールを送らないんですよね。

木下:僕にも似たような話があります。2016年の11月、あるイベントに出ることになったんです。登壇者の中に、上場企業経営者がいたんですね。だからFacebookで「イベントの前後どこかでお話をさせていただけないでしょうか、5分でもかまいません」と連絡を入れたんです。そうしたら、イベント前に2、3分しか貰えなかったのですがお会いできて、その後投資もしてもらえました。1億円。

けんすう:2、3分で1億円はすごいですね。 みんなその人に、ほとんど連絡しないんだろうなあ。

ただ気持ちはわかって、怒られたりしたら嫌ですもんね。勝手がわからないから連絡ができないという気持ちはわかります。

木下:そうなんでしょうね。有名人でも、けんすうさんみたいにTwitterで情報発信している人は返信してくれる可能性が高いでしょうから、連絡してみればいいと思います。

けんすう:「優秀」とは何かに話を戻すと、「もともと頭の回転が速い人が成功する」と考えられがちじゃないですか。でも、まわりのうまくいっている人たちを見ても、みんながみんな、そんなに頭がいいとは思わないんですよ。

木下:そうだとしても、おかしくないですね。やる気があって長く続けられる人が、実はいちばん才能があるから。この前、オリンピック出場経験のあるスイマーに会ったんです。いつから水泳をやっているか聞いたら、「生後10カ月からやってます」って答えが返ってきて、「そ、そっすか、僕なんかポッと出ですみません」ってなりました(笑)。僕は起業してまだ5年ですからね。生きててすみませんという気持ちになりましたね(笑)。

けんすう:どの業界を選ぶかも重要だと思うんですよね。「いまIT系で起業すれば、日本ではだいたい成功するはずだ」というのが僕の持論です。伸びている業界ですからね。あとは確率論かなって気はしています。

木下:インターネットビジネスでは、初期のコストがあまりかからないですからね。お金さえ集まれば負担ゼロで始められる。そこでやっていれば、みんな成功できるんじゃないかと僕も思っています。

けんすう:今回の話は「学歴の話はさておき、みんな行動したほうがいい」という結論ですね。木下さんみたいに起業家に投資している人は、IT業界で起業している東大生を見つけて上から順に張っていけば、成功確率が高いと思います。

木下:僕には「投資してしまった」という後悔はあまりないんです。むしろ「投資しなかった」「断ってしまった」という後悔のほうが多い。今、若い人には、なるべく全員投資するモードでやってます。うちの会社は駒場東大前駅に「若くて優秀なら、スタートアップするしかない」という看板を出してるんです。それを見て「起業したらお金がもらえると思ったんです」って東大生がうちにきたら、きっと投資しちゃいますよ。

カメラマン: 小田駿一、 ライター: 松本香織
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